鍼灸治療についてなるべくわかりやすく私なりの解釈を交えて書いています。
違う考えの方もいらっしゃると思いますが、あくまでもコラム、私の解釈ということでご容赦ください。
鍼がなぜ効くのか?
ものすごく簡単に言うと、鍼を刺すことで小さな傷を作って、その傷を修復する過程で血流を集めて肩こりや首こりを治します。鍼により痛覚を刺激するとで痛みを抑制する物質が体内に生じ痛みが緩和します。血流も改善されます。これらはエビデンスがあります。
また筋筋膜性の疼痛の場合には筋膜の癒着を鍼で直接改善します。筋膜(ファシア)の間に痛覚や神経があるのですが、慢性的な痛みの場合、この空間が狭くなり痛覚が常に痛みを感じる状態になっている可能性があります。それを鍼によって改善するという方法です。これは指圧マッサージではできない鍼特有の治療方法です。
お灸がなぜ効くか?
ものすごく簡単に言うと小さなやけどを作り、その修復過程で血流、免疫を高め体を回復させます。
身体の上で火を燃やすという日常では生じない事象に体が反応します。温覚と痛覚は同じ神経伝達ルートなので、熱さを感じると鍼と同様の現象が生じます。鍼を刺すのが危ない場所(肺などの臓器の近くなど)にお灸で施術することもあります。
東洋医学では表面的な症状を治すことを標治、本当の原因を治すことを本治といいます。
標治だけでなく本治を行うことが東洋医学治療の特徴です。
例えば肩こりがあるときに肩こりだけ治そうとするのは標治です。
本治とは体内の「虚と実」のバランスを調整して、自分の力で自然治癒できる状態にすることです。
当治療院では鍼を使って主症状と実の緩和を図り、指圧マッサージ、お灸を使って主に虚を補う養生をします。
東洋医学では体の大事な臓器を五臓六腑といい、この臓器につながる気や血が流れる道を経絡、そしてその経絡上の重要な点を経穴、いわゆるツボといいます。
病気になるとは、どこかの臓器が弱っているあるいは過剰に働いている状態なので、その臓器につながるツボを使って治療していきます。これは4000年位前に考えられた治療法です。
現代的にはこの経絡に近いのが筋膜(fascia)のつながりです。fasciaは筋肉だけでなく臓器も纏っています。
私はこの両方を考えながら施術をすれば、東洋医学的にも現代科学的にも合致した施術になると考えています。
意外と忘れがちなのですが、人間は電気で動いています(エネルギーという意味ではなく電気信号です)。一番わかりやすいのは、EMSシックスパッドとか低周波器を体につけて電気を流すと筋肉は規則的に動きます。ひとは電気で動いているからです。歩くときの足も、血液を送り出す心臓も電気により動いています。
東洋医学では活動の源を気と呼んでいます。人は気で動いています。
元気がないとか、気があせるとか、やる気がある、とか今でもいいます。
身体に流れる電気や気は見えないものなので普段は感じませんが、たまに電気の流れを感じるようなことが起こります。ライブで感動的な曲を聴いているとき、まさに体が震えるほど電気が走っていくのを感じたりしませんか。そして心や気持ちが高ぶったり、元気になったりします。
私の役割は、お疲れの方や肩こり首こりでちょっと通りにくくなっている電気や気を流れやすくして、体が動きやすくしていくことと思っています。